書籍・雑誌

グレッグ・イーガンの『白熱光』を読む

Incandescence

遙かな未来。大きく宇宙全体に広がる「融合世界」の中心にありながら、コミュニケーションを拒んできた「孤高世界」。そこからのメッセージを持っているという使者ラールが、ラケシュの元にやってきた。孤高世界に迷い込んだラールは、隕石に残った謎のDNAの解析を託されていたが、その仕事を引き継ぐ後継者を探していたのだ。全てが解明された融合世界に飽き飽きしていたラケシュはその申し出を受け、DNAの元となった探すべく、友人のパランザムとともに孤高世界へ向かう。

──という話が奇数章で、偶数章では全く別世界での物語が語られます。ラケシュの世界は人類の世界が発達したというイメージですが、偶数章の世界の主人公は人間ではないことがすぐに明らかにされます。この2つの物語が平行して進んでいく、という形式です。

個人的には偶数章みたいな話が苦手なんですよね。想像力が足りないのか、どうしてもSFには「自分たちの未来」を求めてしまうわけで。そういう意味では、イーガンの中では今ひとつ。これ、何度か読み返すと印象変わるのかな。ただ他にも未読の本がたまっているので、読み返す機会はないかもしれません。

「何度か読み返す」ということを考えると、電子書籍って便利なんですよね。つねにスマホに入っているから、ちょっと時間が空いた時に読み返すことができる。これは個人的に大きな電子書籍のメリットだったりします。『火星の人』は紙の本で買った後、思わず電子書籍でも買ってしまったのですが、もう何度読み返したか分からない。

そう考えると、米国でアマゾンがやっているという紙の書籍を買った人は電子書籍がダウンロードできるというサービスを日本でもぜひやってほしい。電子書籍は便利だけど、自分にとってSFの本はコレクション対象でもあるので、紙の本でも持っていたいんですよ。それをやってくれたサービスでずっと紙の本を買い続けますから。

というわけで今、悩んでいるのは、先日発売されたイーガンの新作『ゼンデギ』をどちらで買うか。まあ、店頭に並んでいるのがまだ初版なので、紙で買いますけどね(笑)。

「西武と巨人のドラフト10年戦争」を読む

Gvsl

 西武の元球団代表、酒井保之氏と、スポーツライターの永谷脩氏がそれぞれの立場から描く、江川、松沼兄弟と郭泰源、KK獲得争いの裏側。ちょうど野球を一番見ていた時代の話なので、読んでいてかなり面白かったです。

 どちらが面白いかといえば、やっぱり当事者だった酒井氏が語る西武編のほう。いちばんダークな感じがしたのが、現金を隠し持って台湾に渡った「郭泰源」編。駆け引きが面白いのが巨人のダブル獲得を阻止すべく画策する清原/桑田編。メインのネタじゃないですが、熊谷組に行くといっていた工藤を指名したときの話も興味深かった。人目に触れないからと工藤一家を六本木プリンスに泊まらせていたり、熊谷組へのフォローとして西武グループの仕事を任せた、といったあたりは、本当かどうかはわかりませんが、なるほどと思わされます。

 巨人サイドはインサイダーが描いているわけではないので、どうしても悪役になっちゃいますね。それに、江川、桑田のスキャンダルと言われても、今となっては「ああ、そんなこと、あったなあ」という感じです。自分が歳をとったことも実感させられました。

 この本を読んでから、今年のドラフトを見て思ったことは、今はみんなメジャーを視野に入れているということですね。選手側にとっては必ずしもプロ野球がゴールとは限らないわけで。とくにここに出てくるような「裏技を使ってでも欲しい」くらいの大物は当然、「自分はメジャーでもやれる」自信も持っているだろうし。そう考えると、いいかげんプロ野球の仕組み自体を考えた方がいいんじゃないという気にもなってきます。まあ、目先の勝敗に一喜一憂する一弱小球団ファンとしては、今のままでもそれなりに楽しいのですが(笑)。

小学生向けの国語辞典を探す

Reikai

 娘にはベネッセの「チャレンジ小学国語辞典」を渡していました。

 ただ学年が進むと単語数が少ないらしく、父の岩波国語辞典を借りパクしています。付せんをびっしり貼った岩波を見ていると、明らかに父より利用しているので、返せとはなかなか言いづらくて(笑)。

 大人向けだし、けっこう古い版(1992年10月20日第4版第8刷)なので、わかりづらいんじゃないかなと。なにしろ巻頭の「第4版刊行に際して」に「『ワープロ』『OA』『前倒し』『献体』『無添加』『情報科学』のような語を、新たに収めた」と書いてあるんですから(笑)。ワープロが新語だった時代ですね。

 案の定、こんなことを言ってきました。

「岩波くらい語数が載っていて、ベネッセの辞書みたいに、子供にもわかりやすく書いてある国語辞典はないのかな」

 ベネッセ小学国語辞典の収録語は2万5000語。ムスメに渡している岩波は5万7000語ですから、収録語は半分以下。たしかにこの差は大きいかもしれません。

 というわけで、池袋のジュンク堂へ行って「岩波くらい語数が載っていて、ベネッセの辞書みたいに、子供にもわかりやすく書いてある国語辞典はないか」調べてみました。

 ジュンク堂はきちんと一覧表を棚につり下げているんですね。さすが。それによると、小学生向けで一番多いのが学研の「新レインボー小学国語辞典」で3万7000語。

 うーん、ベネッセに比べると約50%増ですが、岩波に比べると65%ですから、微妙なところです。

 そこで、担当者に聞いてみました。すると、こんな答えが。

「高校生からは一般の辞書を使うようになるんですよ。年代に合わせて作っているのは中学生向けまでです。小学生向けで語彙が少ないなら、中学生向けを見てはどうです?」

 なるほど。大人向けと小学生向けの両方の特徴をある程度兼ね備えている辞書と考えると、中学生向けというのはベストの選択かもしれません。

 中学生向け辞書売り場に置いてあった比較表によると、小学館の「新選国語辞典」が9万語で一番多いとあります。

 ただ中学生向けの棚にはありません。担当者が調べてみてくれたところ、これは大人向けの辞書の棚に置いてある辞書でした。版元が中学生向けだと言っているから、中学生向け辞書の比較表に載っているのでしょうが、本来は大人向けなのでしょう。これはちょっと難しいかな。

 その次に多いのは、と見ると、三省堂の「例解新国語辞典」。これでも5万8000語も入っています。岩波より多いです。

 というわけで、2625円出して、「例解新国語辞典」を購入しました。さあ、勉強しろよと、家でこれを渡したら、今度は「塾じゃ、みんな電子辞書をもってるんだけど」。ああそうですか、次は電子辞書ですか(笑)

村上春樹の「大いなる眠り」を読む

Oinarunemuri

 村上春樹の新刊が出るみたいですね。実はまだ「1Q84」を読んでないんですが、こっちは読みました。

 村上春樹が訳すチャンドラーもこれで4作目。ひさしぶりにこのお話を読みましたが、まさに「ハードボイルドの基本」「チャンドラーの基本」という話ですね。楽しめました。

 不満があるとしたら、タイトルが旧訳と同じ、ということですかね。ここまでは変えてきたのだから、今回も変えてほしかった。

 これで残っている長編は「高い窓」「湖中の女」「プレイバック」。個人的には、「プレイバック」が楽しみだったりします。村上春樹に合っている気がするんですよね。

 そういえば先日、ビブリオテックで行われた「翻訳真剣勝負」を見に行ったのですが、題材にチャンドラーが取り上げられていました。片岡義男と鴻巣友季子が同じ素材を翻訳するという企画なんですが、お二人が口を揃えて行っていたのは「チャンドラーの文体は厄介」。一人称だけど、マーロウだけでなく、作者の視線も混在しているのだそうです。いや、面白いイベントでした。次があったら、ぜひ参加したいです。

『バーニング・ワイヤー』を読む

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 ニューヨークで電気を利用した犯罪が発生。新たに就任したFBIのマクダニエル支局長補の依頼でライムは事件に挑むが、「電気」という武器を使う犯人に翻弄される。

 帯に書かれた「電力網をあやつる敵がニューヨークを恐怖に陥れる」というコピーを読んだとき、なんとなく「電気が流れる投網を使う怪人がライムを襲う」みたいな構図が思い浮かびました。バットマンか(笑)。

 読み終わってみると、いろいろ思うところありますが、読み始めて結末まで一気に読ませる面白さはさすがディーヴァーという感じです。あきらかに『白紙委任状』より面白かったということは、やっぱりリンカーン・ライムという設定が彼の作風に合っているんでしょうねえ。

 というか、『白紙委任状』の感想、アップしてないことに今さら気づきました。読み直しますか。

ローレンス・ブロックの『殺し屋 最後の仕事』を読む

 Kindleを買って以来、読書の習慣が戻ってきたような気がします。電子にしろ紙にしろ、面白い話を読めるのは、やっぱり楽しいですね。

 というわけで、久しぶりにローレンス・ブロック。

 殺し屋ケラーは、依頼された仕事をするために訪れた街にある切手屋で、スウェーデンの切手を買うかどうかで悩んでいた。迷ったあげく買うことに決めてお金を渡したとき、切手屋の主人が突然叫んだ。「なんてことだ!」

「殺し屋」シリーズの最新作です。出ていたことに気づいていなかったので、慌てて購入。いつも通りの短編集だと思って読み始めたらたら長編で、いきなりケラーが大ピンチに陥り、逃亡生活にはいり、ああ、トッドが〜、という展開なのでビックリしたのですが、読後感はおどろくほどこれまでの短編集と同じで、いや、ローレンス・ブロックの職人ぶりはすごいなと再確認した次第です(笑)。

 いつも通りのシリーズ最新作が読めて満足なのか、いつも通りなのが不満なのか、評価は難しいな。

「天使と悪魔 Special Illustrated Edition」Kindle版を買う

 Kindleで読む本を何にするか。面白そうだけど、紙の本でとっておくほど思い入れのない本は何かと考え、ダン・ブラウンの「天使と悪魔」を選びました。「ダ・ヴィンチ・コード」は面白かったけど、その年のベストワン、というわけではなかったので。

 購入したのは「天使と悪魔 Special Illustrated Edition」というヤツです。

「作中に登場する美術作品や建築物など150点を超えるカラー図録を収録したスペシャル・エディション!」だそうですが、注意書きに「この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください」と書かれていた。うーん、3G、意味なかったかなあ。

 この本が1800円。文庫は3冊分冊で1冊620円ですから、こっちのほうがカラー図録がついて60円お得ということですね。さあ、「紙代、印刷代、取次と書店の取り分」と「150点のカラー図録、電子化費用、Amazonの取り分」を比べると差額は60円なのか、同業者としては気になるところです。

Photo

こちらの比較対象の「単行本」というのは「ヴィジュアル愛蔵版」というヤツですね。


kindle Paperwhiteの箱

 順序が逆になりましたが、kindle Paperwhiteの箱と空けたところを。

 これが箱。
Hako01

 これが開けたところ。
Hako02

 とりあえず読んでいなかった「天使と悪魔」を買いました。「 Special Illustrated Edition」というヤツです。内容紹介によると「作中に登場する美術作品や建築物など150点を超えるカラー図録を収録したスペシャル・エディション!」だとか。まあ、Paperwhiteは白黒なんで「カラー図録」でも意味はないんですが、ノーマルバージョンが見あたらなかったので。

 紙の場合、文庫が上中下3冊に分かれていて1冊620円、計1860円。割高感を電子に出さないようにするための方策なんでしょうね。このあたりの設定は、今後、いろいろ苦労しそうですね。


Kindleを買う

 Kindleを買いました。

 電子ペーパーを使っている端末がほしかったので、FireではなくPaperwhiteを、さらに3G2つながることに意味があるのか興味があったので、3Gモデルにしました。1万2980円。

 とりあえず初代キンドルと並べて撮影。

Rekindle

 ずいぶん洗練されましたね。

 さて、使い勝手はどうなんでしょうか。だらだらと読書してみることにします。

『量子怪盗』を読む

Ryoshikaitou

小惑星群にある監獄に精神だけ幽閉されていた怪盗フランプールを、少女戦士エミリが脱獄させる。彼女は脱獄の見返りとして火星であるものを盗めと命じる。怪盗からの予告状が届いた富豪は、火星で噂の青年探偵イジドールを呼び出し……。

はっきり言いますが、帯のコピーで買いました。なにしろ「太陽系を股にかける量子怪盗ジャン・ル・フランブール登場!」ですからね。これは買うしかないでしょう(笑)

ただし、ネタバレになりますけど……

今回の話では、太陽系は股にかけません(笑)。どうやら昔は「太陽系を股に」かけていたみたいですし、今後、かける可能性もありますが、今回は小惑星群から火星の範囲に、活躍の場は限られます。

それでも最後まで面白かった。「中だるみのないレナルズ」みたいな話でした。続編にも期待してます。


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